どうなったら手術を考えればいいのですか?
人工関節の手術は、癌や心臓の手術のように直接寿命に関するものではありません。痛くても通常の生活がおくれているなら、レントゲンが多少悪くても手術の必要はありません。
しかし、自分の望む日常生活が痛みで満足におくれなくなり、レントゲンでも変形が進んでいる場合には手術を考えます。ただ、年齢や持病なども考慮しますし、レントゲンでの変形度よりも本人の生活の質(QOL)や日常生活のレベルにより、手術の適応かどうかを決めます。多くの検査は必要としません。レントゲンで、ほぼ手術の適応かどうかは分かりますので、もし手術かどうかで悩んでおられるなら、一度外来を受診して下さい。レントゲンなどを評価の上、直接説明をいたします。
どれくらいの入院期間が必要ですか?
基本的に手術の前日に入院して、大半の方は術後2~3週間程度で歩いて自宅へ退院できますが、高齢者などはしっかりとリハビリを行ってから安心して自宅に退院をしてもらえる様に3~4週間の入院が多いです。長い間歩けないことで筋力が落ちてしまっている方、変形の強い方や人工関節の入れ替えの手術の方は回復に時間がかかる場合があります。
若い方は術後2週間以内で退院も可能ですが、病状は個人個人異なりますので、短期入院が必ずしも良いとは考えていません。当院では、大病院にありがちな決まった入院期間が来れば転院をしてもらう等の方法は取っていませんので、一人一人に合ったリハビリをして頂いています。
どれくらいで元の生活に戻れますか?
日常生活が安全に出来るようになってから退院しますので、歩行(しばらくは外出時には杖を使っていただく場合があります)や家事などの普通の生活が退院後から可能ですが、人工股関節の場合は、暫く曲げる角度や姿勢の制限が付く場合があります。
仕事は事務職であれば退院後数週間、車の運転、自転車などは退院後後1ヶ月で可能ですが、特に自動車の運転などは、脚の悪い状態で無理をして事故を起こし、他人に危害を与える危険性がありますし、回復には個人差がありますので必ず主治医と相談の上、ご自身で判断していただく事になります。
治療費はどれくらいかかりますか?
4週間の入院で手術(人工関節代も含む)、リハビリなどの医療費の総額がおよそ200万円になります。患者さんの負担割合が3割として60万~70万円と高額になりますが、それを軽減するため、高額療養費制度など様々な公的医療費助成制度があり、それらを活用すれば相当軽減されます。(高額医療費制度を適用すると、例えば70歳以上の標準的な年金受給者で最終的には月額5万円程度(現役並の所得者では月額8万円程度)の負担になります。)ただその適応の範囲や軽減額はその方の所得や保険の種類によってかわりますので、詳しくは病院の窓口やご自身が入っている健康保険の担当者にお尋ね下さい。
手術後に旅行やスポーツはできますか?
長時間の飛行機やバスでのご旅行も問題はありません。ただ、和式トイレや正座中心の民宿などは難しいことがあります。多くの方と一緒に入る温泉などで人工関節が感染することはありません。飛行機の金属探知機も基本的に人工関節の手術をした旨の説明をすれば、問題なく通してもらえます。
水泳、ウオーキング、トレッキング、ゴルフなどの足に衝撃のかからないスポーツはしてもかまいません。マラソン、サッカー、バスケットボールなどの衝撃の大きいスポーツはお薦めしません。スキーなどは経験者で激しくないレベル、テニスもダブルス程度であれば大丈夫ですが、必ず主治医に相談してから行って下さい。